悠悠自適なチネカルライフ

映画、音楽、美術鑑賞とあれこれ

嘘から始まるクリスマス映画『SMOKE』

こんにちは、KEYです。僕は一緒に過ごす相手もいないのでクリスマスの予定は無いのですが、今年どうしても見たい映画がありました。『Smoke』です。

映画『Smoke』

物語は、あるタバコ屋を中心に描かれる群像劇です。とても暖かみのある物語なのですが、二度目の観賞だからかブログを書きながら理屈っぽく考えてしまっている自分にうんざりします。

というのも、今作はたくさんの「嘘」から構成された物語で、それが映画やフィクションの物語の本質を描いているものだと思うからです。映画のラストを飾るタバコ屋の店主がクリスマスのエピソードを語るシーンが、今作のまとめの様なものでしょう。

一通り話した後に、聞き手の小説家の友人が「お前は嘘がうまいな」と笑い、種明かしのような回想シーンが流れます。

奇跡

劇中には奇跡のような出来事が散りばめられています。幼いころに離れ離れになった実の父親との再会、ギャングが落とした5000ドルを拾い逃げ切り、自分の失敗で大金を無駄にしてしまうも拾った5000ドルで解決。全てがうまくいきます。

ここだけ書くとありえないような話ですが、とある町のタバコ屋を中心に「ありそうな話」に落とし込めているのは監督のウェイ・ワンの手腕によるものでしょう。

映画っていいよね。

映画のラストで「秘密を分かち合えない友達なんて、友達といえるか?」「それこそが人生の価値だ。」という台詞がありますが、正直僕はこの台詞の真意を掴めていません。

自分なりに考察するなら、台詞にしなくても映像で語る、語られなくても想像し、余韻に浸る。一人で考える人、ネットに感想を投稿する人、友達と話し合う人、様々いらっしゃると思いますが、全ての時間への愛、物語への愛が込められていると思いました。